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新規読者のための「ファイブスター物語」ガイド

Category : F.S.S.

以下、昨年4月かそれより前に書いた記事。役に立つかどうかは知らんがせっかく書いたので投稿する。長すぎてアレなので、興味のある部分だけ読めるように目次まで作ってしまった。


目次
本編(単行本とリブート)のガイド
1.FSSは「難しい」のか?
2.単行本とリブートの選び方
3.何巻から読み始めるか――絵柄の問題
4.予習教材としての映画版FSS
5.本編を大判で読む

副読本のガイド
1.副読本とは
2.選び方
3.副読本と本編の対応関係リスト
4.2013年設定改編について
5.最後に


本編(単行本とリブート)のガイド



1.FSSは「難しい」のか?


信者の仕事といえば「布教」しかない。私も信者であるからには初心者向けの記事の一つ二つ、書いて然るべきだったのだが、今まで書いたことがなかった。ちょうど最近は『花の詩女ゴティックメード』からの新規読者も増えているので、そんな人たちが関連書籍を買うときのためのガイドを書いてみることにした。

本題の前に、F.S.S.に関するよくある誤解を解いておきたい。F.S.S.はよく「難しい」と言われる。しかしそれは正しくない。F.S.S.は、「最低限の基礎知識さえあれば普通に読める平易なチャンバラマンガ」(註)だ。ストーリーそのものは直球勝負のベタさである。
(註)『BSマンガ夜話』F.S.S.の回でのいしかわじゅんの発言

だから新規読者の人たちは、ロボと美少女が活躍するふつうの「チャンバラマンガ」として読めばそれでよいと思う。すべての設定を覚えよう、理解しよう、なんて思う必要は一切ないし、覚えるのは無理だ。なにしろ信者を自称する私だって全設定のうち1%以下しか覚えていないのだから(本当)。


2.単行本とリブートの選び方


さて、新規の人が最初に戸惑うのは、単行本が二種類あることに対してだろう。現在、F.S.S.の本編には「単行本」と「リブート」の二種類がある。どちらを買おうか迷う人は多いと思う。そこで単行本、リブートそれぞれの良いところを以下にまとめた。

―「単行本」の良いところ―
  • リブートよりもカラーの設定画が多い
  • 巻末に当時の必要最低限の設定資料つき
  • 多少の加筆ページあり
  • リブートより刊行ペースが速い

―「リブート」の良いところ―
  • 安価
  • カットされたシーンがいくつか復活(とりわけリブート5巻は大幅復活)
  • 連載時の扉絵あり
  • オマケページ(キャラ解説多数。インタビュ、当時の裏話、未公開イラスト等も充実)
  • 第6話に向けた新しい設定がいくつか掲載
  • 基本的に各話ごとの刊行なので、そのエピ全体を俯瞰しやすい

・私のお薦めは単行本
上を参考に好みで選べばよいと思う。強いて言うならだが、お薦めは単行本だ。カラーの設定画の量が多いおかげで色のイメージがしやすいし、当時の設定が(少ないながら)掲載されているので理解も進みやすいと思う。昔の設定に意味はない、と思う人もいるかもしれないが、当時のストーリーは当時の設定に則って描かれている。昔のストーリーを最新設定で読み解くのは後の楽しみでよいのではないだろうか。

・単行本ならリニューアル版を
単行本のほうを買うなら、ぜひ1巻は「1998EDITION」、2巻は「2005EDITION」を選ぼう。どちらも資料が充実しているからだ。とくに後者にはカラーのファティマ図鑑が収録されており、便利に使える。

・買い直しの必要なし
私のお薦めは単行本ではあるがリブートから買い直したりする必要は全然ない。リブートはカラーページこそ少ないものの、設定などの情報量そのものは単行本より非常に多い。読み応えがある。


3.何巻から読み始めるか――絵柄の問題


「単行本」「リブート」どちらを買うにしても、一つ問題がある。それは「絵柄」だ。もちろん本来は第1巻から順に読めばよいのだが、なにしろ第1巻が描かれたのは今から約30年も前のことで、当然ながら絵柄には80年代の香りが強くある。新規読者の中には違和を感じる人もあるはずだ。

そこで、一つの方法として新しい巻から読み始めることを提案しておきたい。作者である永野護も「単行本13巻からどうぞ」と言っているので悪くない考えだと思う。『花の詩女ゴティックメード』からの新規読者なら、第5話、もしくは単行本13巻から読むといいかもしれない。それぞれお薦めポイントは以下の通り。

―第5話(単行本9~10巻、リブート6巻)から読むと―
  • 絵柄に違和感が少ない
  • 『花の詩女』の皇子トリハロンの血を引く皇子様が登場
  • 『花の詩女』のピンクと白のストライプの女性(クリスティン)の幼少期の描写
  • 『花の詩女』のキラキラした少女(AF町とAFエスト)が登場
  • 『花の詩女』の詩女や神官の役職にあたるキャラが登場

―単行本13巻(リブート未刊)から読むと―
  • 絵柄に違和感がない
  • 『花の詩女』の皇子トリハロンの血を引く皇子様が登場
  • 『花の詩女』の黒ずくめの怪しい女性(ツバンツヒ)が登場
  • 『花の詩女』の紺色の帽子の皇帝(レーダー9)が登場
  • 『花の詩女』のボットバルトの子孫が登場
  • 『花の詩女』のダイジェストマンガが収録

もちろん映画を見ていない人にも、新しい巻から読み始めるのはお薦めだ。どの巻からでもよいが、絵柄の違和感の少なさを優先するなら第5話か第6話からがよいだろう。ちなみに私の場合、単行本1巻と、もっと後の巻の二つを同時進行で読んだ。途中の展開を飛ばすことにより、ある意味で本来より劇的なストーリーとして楽しむことができた。


4.予習教材としての映画版FSS


1989年のアニメ映画『ファイブスター物語』もお薦めだ。作品としても素晴らしいが、F.S.S.第1話の内容が分かりやすくまとまっており、新規読者の予習教材としても素晴らしい。この映画でF.S.S.にハマった人の数は半端ではない。ファンの3人に1人はこの映画からのファンだと思う。レンタルして見てみよう。


5.本編を大判で読む


さて、単行本、リブートのどちらでもよいが、とにかく本編を読み終えたとする。中には絵柄が気に入り、もっと大きい画面で読みたいという人もいるかもしれない。そういう人のために大判本編を紹介しておく。

大判シリーズの良いところは二つある。一つは、紙質が良いので変色しにくいこと。もう一つは、ニュータイプと同じ大判なので、絵の美しさ・迫力があるということ。単行本に比べると、とくに見開きで登場するロボットや、大ゴマのキャラクターには段違いの迫力がある。ただしどれも絶版。古本で安く手に入ると思う。

『ADDLER2988』:第1話に相当
『JUNO2989』:第2話に相当:
『テールズオブジョーカー』シリーズ:第3~6話前半に相当するが、未収録エピもあり

※『テールズオブジョーカー』は本編の収録順が不規則なので注意が要る。詳しい内容は↓などが参考になる。
http://www.geocities.co.jp/Technopolis/6403/TOJ.txt



副読本のガイド



1.副読本とは


・副読本は買わなくてもいい
さて、次は副読本について。最初に断っておくと、副読本は別に買わなくてもよい。副読本がなくたってF.S.S.はただのSFチャンバラマンガとして楽しむことができる。ふつうに読む分には副読本は必要ない。以下、それでも興味があるという人――設定をより詳しく知りたい人や、設定画をもっと見たいという人――へのガイドとして書いていく。

・副読本はデザイン画集
「副読本」という言い方について。F.S.S.にさまざまある関連書籍のうちで、永野護の「デザイン画集」のことをここでは便宜的に「副読本」と呼ぶ(公式な呼び名ではない)。副読本に収録されているのは、最新のデザイン画(設定画)、キャラ設定、世界観設定、2Dイラスト、3Dイラストなどだ。

・副読本は単行本とペア
副読本は基本的に、ペアとなる単行本の予習&復習のための本として出版されている。おおまかに言って「単行本1~2冊につき副読本1冊」というシステムになっている。例えば単行本1巻には『キャラクターズ1』という副読本が対応している。

・副読本は親切ではない
ただし副読本は、ストーリー内容をつぶさに解説してくれるほど親切なものではないので、その点には注意が要る。むしろストーリーとはあまり関係のない内容――「ロボットの内部構造図解」や「服の図解」や「ジョーカー太陽星団グルメリポート」など――も多い。


2.副読本の選び方


上にも書いたが、基本的に副読本は買わなくても何の問題もない。それを前提にしたうえで以下、解説。

F.S.S.はペアとなる副読本と単行本をいっしょに読むと面白いという仕掛けになっている。だから副読本をどれか選ぶなら、基本的には気に入った単行本やエピソードに対応した一冊を探してみるとよい。

具体的には、以下の二つのシリーズから探すことになる。初期のキャラクターズと、近年のデザインズだ。前者は永野護の私的な会社から出版されていたもの(現在絶版)。後者は新しいシリーズで、角川書店から出版されている。

―「キャラクターズ」シリーズ―
このシリーズはちょっと薦めにくい。まず全巻絶版であるし、(ごく一部の)設定は古くなっているし、内容的にも後に「デザインズ」1~3巻に再録されてしまった。が、気に入ったエピソードや単行本があるならば、それとペアの巻を古本で安く買ってみてもよいと思う。というのは、国家別に再編集されてしまった「デザインズ」1~3巻よりも、エピソードごとの設定をまとめたキャラクターズのほうが却って便利な面もあるからだ。このシリーズは、例えば単行本6巻には『キャラクターズ6』、単行本10巻には『キャラクターズ10』と、単行本と巻数がほぼ一致している(全てではない)。その他の対応関係については下のほうにまとめて掲載した。

―「デザインズ」シリーズ―
とにかく副読本が欲しい、という新規読者にはとりあえずデザインズシリーズを薦めておく。映画『花の詩女ゴティックメード』からの新規読者なら『デザインズ4』がもっとも楽しめるかもしれない。映画のキャラや、その周辺の設定も多く掲載されている。シリーズの概要は以下のとおり。
『デザインズ1』:キャラクターズの総集編+α
『デザインズ2』:キャラクターズの総集編+α
『デザインズ3』:キャラクターズの総集編+α
『デザインズ4』:単行本13巻に対応した設定集
『デザインズ5』:単行本14巻に対応した設定集

なおF.S.S.関連書籍はキャラクターズとデザインズだけではない。他にもいろいろある。多すぎて紹介できないのでウィキペディアを見てほしい。
ウィキペディア:ファイブスター物語

―Q&A企画―
これは副読本ではないが面白いので紹介しておく。かつてF.S.S.FAQという企画があった。ストーリーに関する読者の素朴な疑問・質問に、(作者ではなく)読者が回答していくというものだった。中には作者から「公認」された回答もあったし、作者が設定の矛盾を認めたケースさえあった。新規読者の疑問に答えてくれる回答もきっとある。この企画が収録されている書籍は次の三冊。とくにクロニクルには150件以上の質問&回答がまとめてあり、読み応えがある。

『F.S.S.OUTLINE』(絶版)
『クロニクル2005』(絶版)
『クロニクル2007』


3.副読本と本編の対応関係リスト


すでに記したとおり、1冊の副読本は1~2冊の単行本とほぼ対応関係にある。参考に、本編の話数、単行本の巻数、リブートの巻数、副読本の巻数のおおまかな対応関係を刊行日と合わせてまとめておく。サイズがB4判の大型の副読本には「(大)」と記した。

第1話「ラキシスの章」
1987-05-21 単行本01巻
1988-07-01 キャラクターズ#1 MIRAGE
(リブートは1巻)

第2話「クローソーの章」
1988-07-01 単行本02巻
1988-08-15 キャラクターズ#2 COLUS
1990-09-01 単行本03巻
(リブートは2巻)

第3話「トラフィックス」
1991-10-01 単行本04巻
1992-09-20 キャラクターズ#7 DRAGON KLEIN
1992-11-20 単行本05巻
(リブートは3巻)

第4話「放浪のアトロポス」
1993-06-01 キャラクターズ#6 TWIN TOWER(大)
1994-03-30 単行本06巻
1994-12-20 キャラクターズ#8 A.K.D.
1995-04-30 単行本07巻
1997-02-28 単行本08巻
(リブートは4-5巻)

第5話「ザ・シバレース」
1997-05-11 キャラクターズ#9 PLASTICS STYLE(大)
1998-09-30 単行本09巻
2000-10-01 単行本10巻
2000-10-01 キャラクターズ#10 KNIGHT FLAGS(大)
(リブートは6巻)

第6話「MAJESTIC STAND」part1
2000-10-01 キャラクターズ#10 KNIGHT FLAGS(大)
2003-04-30 単行本11巻
(リブートは7巻)

第6話「MAJESTIC STAND」part2
2003-05-01 キャラクターズ#11 SMOKE WALLS(大)
2006-04-10 単行本12巻
(リブートは7巻)

映画制作に伴う休載期間
2005-09-20 F.S.S. デザインズ1
2007-04-01 F.S.S. スクールデザインズ
2007-07-10 F.S.S. デザインズ2
2008-04-01 がんばれエスト スクールカレンダー
2008-09-25 F.S.S. デザインズ3
2009-01-01 ファイブスター物語 カレンダー2009

映画「花の詩女ゴティックメード」
2013-03-07 花の詩女ゴティックメード ワールドガイド

第6話「MAJESTIC STAND」part3 stage1-4
2014-03-10 F.S.S. デザインズ4 (大)
2015-08-08 単行本13巻
(リブートは未刊)

第6話「MAJESTIC STAND」part3 stage5
2016-02-25 F.S.S. デザインズ5
201?-??-?? 単行本14巻
(リブートは未刊)

(※この一覧では『キャラクターズ#3 WATER DRAGON』、『キャラクターズ#4 FATIMA』、『JOKER 3100』の三冊を除外したが、それは単行本とペアの関係にないからであって、別に内容がつまらないからではない)

それぞれの副読本の具体的な内容についてはウィキペディアが参考になる。
ウィキペディア:ファイブスター物語


4.2013年設定改編について


さて、最後は設定改編について。これに触れないわけにはいかない。改めて説明するまでもないが、2013年にF.S.S.の設定は大幅に改編された。単行本でいえば13巻以降が新設定となっている。厄介な作品で申し訳ない(読者が謝ってどうする)。

新規の人たちの中にはGTMよりMHのほうが好き、という人もいるかもしれないが、そこは諦めてもらうほかない。デザイナーである永野護にとって、20年も前のデザインであるMHの関節構造は古くて我慢がならなかったのだ。この関節の問題については以下のリンク先に詳しく書いた。
いかにゴティックメードは生まれたか

ただ、ストーリーについては安心してほしい。設定改編とはいうが、その内実は名称とデザインの「更新」がほとんどであり、改編の前と後でストーリーは問題なく繋がっている。

ストーリーを追う上で、すべての旧設定と新設定の対応関係を覚える必要なんてない。古参の読者たちだって覚えてはいない。おそらく作者ですら覚えていない。作者とはいえ、膨大な設定のすべてを忘れないでいるのは物理的に無理だ。いわんや読者においてをや。個人的には、新旧設定の対応関係については以下の7件さえ覚えておけば、後はどうでもいいと思う。

・MH=GTM
・巫女=詩女
・ドラゴン=セントリー
・ダイバー=バイター
・スパイド=ガットブロウ
・マイト=ガーランド
・マイスター=スライダー

各ロボットの旧設定と新設定での対応関係が気になる場合は、ここの一覧表やウィキペキアなどが参考になる。


5.最後に


以上で私なりの初心者向けガイドはおわり。ネットにはこうした記事が意外に少ないので、もっと多くの人が書くといいと思う。




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