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超帝國とは何だったのか

Category : F.S.S.
超帝國についてメモ。

読者のなかで、第5話の超帝國のあたりからF.S.S.についていけなくなった、という人は意外と多い。たしかにF.S.S.は超帝國の出てくる第5話以前/以後で世界の雰囲気が大きく変わっている気がする。たとえば第3話で白スーツを着ていたヒッター子爵/カイエンと、第5話以後の超帝國剣聖アサラム・スキーンズを父に持つカイエン・バッシュ・カステポーとの間には隔たりを感じる。そういう意味ではF.S.S.は第5話が始まった1997年に、2013年改編と同レベルの改編がおこなわれていたと考えてもよいかもしれない。

そもそもなぜ、超帝國なるF.S.S.の根幹を揺るがしかねないような巨大な設定が出てきたのだろうか。それはコーラス王家のためだったのではないかと私は想像している。コーラス王朝には初期からの設定として「長子は必ず騎士である」というものがあり、またコーラス3世には「MHマイトの能力ももつ」というものまであった。言うまでもないが、そんな特殊な家系はコーラス以外にはない。連載初期の頃はコーラスって万能ですげ~な~で済んでいたが、連載が進み、設定が固まってくるにつれて、作者はこの矛盾を放置できなくなったのだと思う。そこに根拠を与えるための壮大な辻褄合わせとして用意されたのが超帝國だったんじゃないか。

私の(まったく当てにならない)記憶の範囲の話だが、コーラス王朝と超帝國がはじめて紐付けされたのは『デザインズ2』の以下の文章においてだったと思う。

コーラスの王子、特に長子は必ず騎士の力をもって生まれている。このジョーカーでも最大の謎はいまだ解明されていないが、バランシェはうっすらと、そして現在星団に帰ってきているナ・イ・ン、さらに復活した剣聖プロミネンスがコーラスと出会うとき、すべて解明されるものと思われる。
(『デザインズ2』p140)


バランシェの出した推測をここに述べておく。

「簡単なことだ。コーラス王家のあの濃い騎士の血は、コーラスの先祖に”超帝國の皇帝クラスの者”がいるのさ」
(デザインズ2p146)

初期の矛盾した設定が後になって「ジョーカーでも最大の謎」なんて取り繕われて物語の主題となるところがF.S.S.の楽しいところだ(嫌味とかではないです)。それはともかく、こうして作者は超帝國という上位概念をF.S.S.に挿入することで、コーラスの血統の特殊性を設定上、うまく整合させたであった。


ーーー


と、ここまで「コーラスの長子は必ず騎士」設定は連載初期ゆえの設定のブレであるという前提で書いてきた。が、これは誤った認識だろうか? もちろんF.S.S.が始まった1986年の時点で「超帝國」という単語が作者の頭のなかにあったとは思えないにしても、それらしい概念というかイメージは作者のなかにあったのかもしれない。そればかりは作者に聞いてみないとわからない。

それにしても、コーラス周辺には楽しみなエピソードが多い。上の引用文のなかで作者がみずから先行ネタバレしているエピソードもそうだけど、ハリコンとカリギュラの関係などは早く見たくて仕方がない。一体いつになったらハリコンくんは活躍してくれるのか。私はそれだけを楽しみにF.S.S.を読んでいるのだ(本当)。


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No title

いつも楽しく拝見しております。
'コーラス血統設定は物語初期故のブレか?'
自分も、騎士/マイトの血は基本遺伝ではない、と言う設定と矛盾するなぁ…いくらエルガイムでのやり足りなさを引きずっていたとは言え、そこまでコーラス側に特殊性を与えたいか?
と思っておりました。
単行本のどこだったか、天照に対するもう一方の主人公がコーラスだ…みたいな文章が有り、あ、さっそく言い訳来たと思っていたのですが…
なるほど、超帝国!
深い洞察、目からウロコでした。
たしかエボラ絡みの『血』に関するフィクション本を読んだのが超帝国誕生の切っ掛けみたいな事を、永野氏言ってませんでしたっけ?
ソレも言い訳かなぁ…
あ、長文失礼致しました。
また楽しませて下さい。

No title

いつもありがとうございます。

〉『血』に関するフィクション本

以下のエッセイで作者が触れている本のことですね。

(前略)「アトロポス」のシナリオが終盤にさしかかった頃、当時の担当重信(しげのぶ)が「これおもしろかったので」と一冊の本を持ってきた。(中略)それは学術書に近い本で、タイトルは忘れてしまったが、AIDSの根本的なことはさわりでしかなく、中身は血液というものがどういうものなのかを最新学の学説で論じている書籍であった。(中略)物語を紡いでいくための新しい発想。それがこの本がきっかけで一気に広がった。
(リブート6巻p449)

この本のおかげで炎の女皇帝、マグダル&デプレ、プラスティックスタイルが誕生したらしいです。たぶん超帝國もそれと同時に生まれたのでしょう。コーラス云々はともかくとして、やっぱりこの1997年辺りでFSSは大きく転換しているように思えます。

結局、作者はどんなつもりでコーラス王家に不合理な設定を与えたのでしょうね。初期の『キャラクターズ(2)』にもその辺への言及はありませんでしたし、『クロニクル2005』に掲載されたFSSFAQを見ても、これに関しては議論されてませんでした。読者の人たちも意外とスルーしてたんですかね。

No title

返信ありがとうございます。
読者的には…と言うかマニア的には自分を含め、コーラスは自分流Lガイムをどうしても形にしたかった永野氏が残した尻尾なんだから、アマテラスとか色んな話が出てくるけど、結局書きてぇのはコーラス6世の物語だろ?
と、楽しみに待っているので、ラーメンのチャーシューのように心の底に沈めて、触れないようにしてるのではないでしょうか。
いや自分にとってアマテラスは味玉程度なので…
超帝国はシナチク…
いやいや、失礼致しました。

Re: No title

あ~、なるほど。
もしかすると読者もですが、作者もコーラスに関しては大事に大事にあえて触れないようにしている(してきた)のかな、と思いました。となると、作者も読者もFSSの柱であるコーラスを20年以上もあえて放置していることになり、さすがFSSだなと今更ですが思います。
私にとってのチャーシューは、うーん、特にないかも……。

No title

更に返信ありがとうございます。
エルガイム期を知る永野マニアにとって…と考えると30年近くになりますかね~
コミックス1巻からダバっぽい背中キャラ(宿を探してるなら…とソープに声掛ける少年)や、2巻で回復リハビリ中にエストのスモック(下着もですわ)を着るⅢがまんまダバだったり。
読者サービスでもあるのでしょうが、永野氏自身のエルガイムへの愛着と取れる表現のように思えてどうしても目についてしまうのです。
カドカワムック'エルガイム 1・2・3'と言うのが有りましたが、アレがFSSの原点とすれば、自分はアマテラスはやはりアマンダラでしか無い気がします。
ただ、6世(ダバ)に襲いかかる狂気の悪役を主人公としてFSSを進めるにはアマテラスにも愛着が出てきてしまい、ユーパンドラなる影武者を出してきたのかな…(だってユーパンドラの設定、無理が有りますもん)
などとコミックス3巻あたりまではダバ中心な妄想に耽っておりました。
身勝手な妄想なんですが…
カドカワムック1のカバー表に描かれたアーメス…あの美しさがMHデザインの原点じゃないかなぁと自分は思ってきました。
ことほど左様にコーラスの話を待ち侘びております。
あと10年以内に読ませて欲しい…
長文失礼致しました。
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