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NT2016年8月号感想(連載6回)ツラック隊

Category : F.S.S.

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※NT2014年9月号で永野監督は「映画で作ったものは映画館で見ないとおかしいじゃない?」と発言。事実上のソフト化しない宣言。見たい人は「ファン登録」してから投票しよう。
※個人的にはこの映画の鑑賞は2回目以降が本番。1回目「なんか変わった映画だな……」。2回目「背景や細部の描写が美しいなあ……」。3回目「良い物語だなあ(涙)」。

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■NT アニメ版ジョジョの記事の感想


パリコレマンガとしてのジョジョとF.S.S.……
今月ニュータイプの表紙はアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険 ダイアモンドは砕けない』。F.S.S.が載ってる角川の雑誌の表紙に集英社のジョジョというのが面白い。特集記事ではジョジョ担当編集者へのインタビュまであって、それによるとどうも原作者はアニメ版には口出しはしていないようで、へぇぇと感心した。どこかのマモちゃんには真似のできない芸当であろう。というのはともかく、どの記事も面白かった。

せっかくなので一個だけF.S.S.とジョジョのメモ。

ほぼ同時期に連載が始まり、現在も続いているF.S.S.とジョジョだが、両者はいつから「パリコレマンガ」なのか。

ちゃんと読み返さずに印象でぺらぺら言ってくけど、F.S.S.は80年代終盤の第1話、第2話の頃からファティマ服や騎士服の構造、女性下着を公開するなどファッションマンガ感はあったものの、パリコレマンガという感じはしなかった。90年代前半の第3話「トラフィックス」では、ムグミカの立派なドレス、あの上下揃いのハイアラキのスーツ、カレン、カイエンの8種類にも及ぶ多彩な衣装替えなどが出てきてファッションマンガ感が強まる。第4話ではさらにザンダシティやパイドパイパー騎士団においてストリートファッション色も出てくる(ファティマであるオキストロまでがコンビネゾン(つなぎ)状の服を着せられている)。そして第5話「ザ・シバレース」に入ってプラスチックスタイルが登場したことによって画面がパリコレ化したと思う。

他方のジョジョも初期はパリコレマンガという感じはしなかった。たとえば第3部「スターダストクルセイダース」の時点でも承太郎たちの服は魅力的だったものの、それらはファッションというよりは「キャラクター」という感じがする。初期F.S.S.と比べると服の描写への執着がそれほどないように見える(註)。ジョジョにおいてファッションマンガ感が出てきたのは、第4部「ダイアモンドは砕けない」の物語中盤(90年代前半頃)あたりだったと思う。たとえば第4部前半の承太郎の白いコートなどは、どんな構造のどんなコートなのか観察してもよく分からないのだが、物語が進むにつれて描写の解像度が上がり、実は意外とシンプルなコートであったことが判明したりする。物語前半の音石明(エレキギターの人)の辺りまではデザインにやや野暮ったさを感じる。

物語中盤、岸辺露伴の私服(初登場時とは違う服)が登場するあたりが個人的には画期であると思う。この辺から「ああ、(キャラクターではなく)ファッションだなあ、洋服だなあ」と感じるようになり、立て続けに噴上裕也(匂いのスタンドの人)やエニグマの少年(紙のスタンドの人)などが登場し、画面がパリコレめいてくる。ジョジョ第4部は約3年ほどの連載期間だったが、前半と後半で別のマンガかと思うほどファッション的な進歩があると思う。つづく第5部「黄金の風」になると、もはや登場人物全員がファッションショー開催中です、みたいな感じになっていく。

F.S.S.は比較的穏やかな変化でパリコレマンガになっていくのに対し、ジョジョは急激にパリコレマンガになっていったというのが私の印象。

私はここで「デザイン」についての話をしているつもりだけど、実のところ自分が「デザイン」と「絵柄」をきちんと区別できているか心もとない。作家の優れたペンタッチにかかれば今ひとつのデザインであっても秀逸に見えるということはありうるので。

 (註) それは一つには、作品の受容のされ方の相違によるところが大きい。F.S.S.はファティマたちの服の構造を描く/書くこと自体が読者へのフックとなるという「世界観消費型作品」の典型で、作者には「服をきちんと描く」ことへのインセンティブが働きやすい。だからF.S.S.は初期の時点でそれこそあの伝説の「戦斗用ブラジャア」(リブート1巻)も含めて意識的に描かれる(読者からの不評により作者は一瞬で撤回したわけだが)。それともう一つ、F.S.S.の場合は気候の異なる4つの恒星という基本設定があるのも大きい。それぞれの地域性に根ざした多様な騎士服などを「描かざるをえない」という面がある。他方のジョジョは、作者に「服をきちんと描く」ことへのインセンティブがF.S.S.ほどには働かないというのが一つ。というか働かないのが普通で、F.S.S.が異常なのだが。もう一つは、荒木の「正確さや構造よりもイメージを描きたい」という意識によるところが大きい。そのためジョジョでは特に初期においてキャラクターの服は服としてのリアリティよりも、力強さやキャラクターらしさを優先して描かれる傾向にあった。前述の承太郎のコートもその一例。

延々と書いてきて今更たけど、こういった比較論を軽はずみにやるとF.S.S.信者とジョジョ信者の抗争に巻き込まれやしないかと怖気づいてきたので、ここまでの文章は読まなかったことにしてほしい。

と言ったそばからもう一つメモ。F.S.S.とジョジョのスーツファッションについて。世の男性のファッションはなんだかんだで最終的にはスーツファッションに回帰するという部分があるのだが、F.S.S.にはメンズスーツがあまり登場しない。と以前、記したが、たぶんジョジョにもあんまり登場していない、ということをメモしておく。第4部以後のパリコレ化したジョジョにすらあまり登場しない。大雑把に言えばF.S.S.は「レディースファッションマンガ」であり、ジョジョは「メンズファッションマンガ」。なのでジョジョのほうにはメンズのスーツが登場してもよさそうなものだが、あまり見当たらない。「海洋学者」である空条承太郎などは日常生活のなかでスーツを着る機会もあるはずだが、スーツ姿の承太郎というのはなかなか想像がしにくい。スーツらしいスーツを着ているのは吉良吉影くらいのものだ(どうでもよいが吉良吉影とダグラス・カイエンは物語の中でも珍しいスーツ仲間である)。スーツの類型デザインの服を着ているのもブローノ・ブチャラティぐらいのもので、多くのキャラは変形デザインの服を着ている。よって、永野はレディース、荒木はメンズという指向性の違いはあれど、両者とも「メンズスーツにあまり興味がない」という点では共通していると言えそうだ。最近、佐々木倫子のマンガを読んで面白いなと思ったのは、荒木や永野とほぼ同世代のこのマンガ家は逆にメンズスーツに執着があるということだった。男性作家はスーツを描かず、女性作家はスーツを描く。まあ、ファンタジーであるジョジョやF.S.S.に現実っぽいスーツが登場しなくて当然であると考えるべきか。こういった書き方をしていると、さも私が保守的でベーシックなスーツの出てこないジョジョ、F.S.S.に不満を持っているように思われるかもしれないが、全然そういうわけではないので念のため。私はむしろ両作品には保守ではなく前衛が似合うと思っている。

話は戻るがF.S.S.はパリコレマンガというよりは服飾網羅マンガとでも言った方がいいような気もしてきた。それについてはまた今度。

ここらでようやくF.S.S.本編の感想に入る。

■扉ページ


ファティマ・インタシティのキャラシートとGTMバーガハリSQのセルイラスト(いずれも既出)。

■本編


ハレー……
やさぐれた男性の正体はワンダン・ハレー。ツラック隊の騎士たちから「GTMパーツのブローカー」「忍者」「戦場レポーター」「ファティマのブローカー」などと疑われる。意外とAPの騎士達に顔が知られてないんだね。

ツバンツヒには戦場にいたことが既に知られていたようだ。

ミースのセイラー……
ツラック隊へ来たミースとファティマ・ビルド。乗ってたセイラーのデザインが前と横のガラス面が広い仕様で、なんかF.S.S.では珍しい気がする。

ミースとナルミ……
この二人、髪型がほぼ同じということに今気付いた。p66。

AP一般制服のツバンツヒ……
AP騎士になったのだから着ていて当然なのだが、衣装替えの多いツバンツヒ。きちんと全身ショットで描かれるところがF.S.S.。

誤植……
「ファテマ」「ツバンヒ」は誤植であろう。「?!」というマークが出てきたけど、従来は「!?」だった気が。

まさかのMH期→GTM期の書き換え……
なんか凄いの来たー! なんとびっくり第5話「ザ・シバレース」の中の「皇帝たちの操り人形」が部分的に再話された。MH・AアトールスクリティとMHエンプレスがそれぞれGTMバーガハリSQとGTMカイゼリンに更新されて描かれている。たぶんだけど、セリフも「!!」の数以外は当時のまま。こういった凄い一発が来ると、いつものことだがなぜか笑えてくる。この楽しさはもはや普通のマンガの「楽しさ」ではないな。だって「かつて描かれたシークェンスが別のデザインになってもう一度かかれる」なんて普通ありえないし。強いていえば、「古いアメコミが最新デザインで映画で再現」とかに近いかもしれない。個人的には今から約18年前(地球時間)の若かりし頃のハレーをもう一度見れたのが嬉しかった。

ところで、こうしたMH期からGTM期への上書きが出てきたのはこれで何度目だっただろうか。今ぱっと思い出せるのは以下3件。
・映画『花の詩女』冒頭のKOGのシーン
・単行本13巻p78のコーラス城で語るラキシスの場面(元場面は『リブート2巻』)
・13巻p122のフィルモア女性騎士とGTMユーレイの場面(元場面は『JOKER3100』)
ユーレイの場面に関してはちょっと種類が違うかな。

GTMカイゼリン……
やっぱりカイゼリンはいいなあ。溜息が出る。今回のカイゼリンが白色×黒色ではないのは、『デザインズ4』の「ヤーボ・ビートが使用した時は赤とオレンジが基本色」との設定通り。ただ、いったいどの部分がオレンジ色なのかよく分からないのだが。できればカラーで見たかったところだが先月もカラーありだったし贅沢は言わない。

胸部や椀部にはドナウ帝国の紋章が手描きで複数入っている。

ファティマ・ハルペル……
まさか2010年代(地球時間)に再びハルペルを本編で見られるとはね。ハレーの描写に関しては第5話当時の雰囲気に似せて描かれているけど、ハルペルに関しては服の光沢表現が当時よりかなり過激になっていて面白い。ファティマ・ビルドのスーツも従来よりかなりツヤツヤした素材感で描かれている。美しい。

ナルミの説教……
ナルミがハレーに説教。「騎士ならGTMで戦うのよ!! GTMがあれば乗る!! ファティマを失ったら娶る!!」。連載再開1回目で「戦えるGTMがあれば戦う」と言うナルミと、「こわれたGTMがあれば直すのがスライダー」と言うソープが出ていたのは今回への伏線だったのね。

ワンダン・ハレーの逆告白……
ナルミに説教されて心を改めたハレーがファティマ・ビルドに逆告白。「どうか私を!! あなたのパートナーに! お願い致します!!」。なんと。F.S.S.でも初めてのパターンではないか。

ハレーの加齢……
今月の内容とは直接関係ないが、ハレーは後に顎がだいぶゴツくなることが確定している(第6話冒頭のバッハトマ城突入前のシーン)わけだが、現在のハレーの顔ときちんと整合するのだろうか。と思い確かめてみたら、現在は3031年で、顎のゴツいハレーは3075年。44年が経つことになるので、どうやらきちんと整合するようだ。

もちろん44年分歳をとるのはハレーに限らない。デコースも、ミースも、ヨーンも、セイレイも、マロリーも、ダイグも、等しく老いていく。現在の魔導大戦が終わる頃にはキャラクターほぼ全員の雰囲気が今とは変わっているはずだ。そんなの分かりきったことなんだけど、連載が8年休止していてキャラが成長/老化しないまま時計がずっと止まっていたせいか、キャラクターがいずれは老いて死んでいくということがなんだか不思議に思える。

ファティマの名をめぐる物語……
ハレーがハルペルを「インタシティ」と呼ぶ。これはグッときた。

F.S.S.にはファティマの名をめぐるエピソードが他にもある。言うまでもなく第3話のミハエル・レスターとファティマ・パルスェットのエピソード。F.S.S.ではハレーやレスターなど騎士側がファティマの名を正確に呼ぶ/呼ばないが物語になっているが、同様にファティマ側も騎士を「マスター」と呼びたい/呼ぶ/呼べない(ファティマ・バーシャの例)というのが物語の動力になっている。

ツバンツヒ……
感動し、ふつうに泣き出すツバンツヒ。もとはクールビューティだったのにねえ。だがそれも仕方あるまい。ソープとラキシスの発するF.S.S.磁場にかかっては誰だってクールビューティのままではいられないのである。ミラージュ騎士になるとはそういうことなのである(わりと本当)。

ラキシス……
ツバンツヒに対するフキダシ外のセリフ「大丈夫ですヨ 予定通り進行してますからね」。これはラキシスというより作者のセリフに近い。

ソープとミース……
なにげにソープとミースの会話ってこれが初めてか。ミースのことを意味ありげに「バランシェ博士」と呼ぶソープ。偉大すぎる名を継いだミースは謙遜して「ミースとお呼び下さい……」。しかしマッドサイエンティストという意味では現時点ですでにバランシェ的だ。剣聖カイエンに「狂ってる…マトモじゃ…ねえ……」と言わしめた、ミースによるマキシを生むための策謀(第6話冒頭)がいつの日か公になったとき、ミースは星団の人々からどう思われるのだろう。

というわけで今月は終了。

ハレーのAPへの復帰は2000年(地球時間)前後から既に明かされていたわけだが、それがようやく本編で描かれたことになる。長かったな。ハレーの活躍にはずっと期待してきたのだが、しかしよく考えてみるとこれからツラック隊にはアイシャやマロリーなどのやかましい人たちも加わってくるはずで、押しの弱いハレーにきちんと活躍の場があるのか心配。

来月はインサートエピソード「ファティマ・アウクソー」とのこと。それは楽しみだな。年表に書いてあるアウクソーが勘当されるエピソードだろうか。またカイエン出てくるのかな。




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