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虫としてのモータヘッド、恐怖のモータヘッド

Category : F.S.S.
今月の連載は最高だった。とりあえずAF京ちゃんファンはNT買ったほうがよいと思う。

以下、連載と関係ない日記。何日か前の。
 
* * *

自分がF.S.S.の本編を、ロボットを、模型を、初めて見たときどんな感想を持ったのか、今となってはよく覚えていない。なんでもすぐ忘れるので。忘れないようにこんな感想ブログを書いているわけだが。

はじめて永野ロボットを見た人の感想を読むと面白い。たとえば次のような。








そうか、昆虫か。そう言われると、MHバッシュも、GTMカイゼリンも、MMアウゲも、なんとなく虫に見えてくる。永野ロボットは、虫。MHカンはブラターリアとかいう虫に似ているかもしれない。MMアウゲなどはセイレイ・コーラス殿下から「ギンギラギンの色毛虫」(単行本12巻)と形容されていたし、設定改編後は「モルフォ・ザ・スルタン」という名が与えられてる。どうやら色毛虫からモルフォ蝶へ成長するらしい。

当該ツイートの「この人のデザインってやっぱりゾワっとするね」という指摘はかなり重用だと思う。今、思い出したけど、私もはじめてモーターヘッドを見たとき、「昆虫を見たときのゾワ感」こそ感じなかったものの、「なんか怖い」「なんか嫌」と遠ざけた記憶がある。モーターヘッドはガンダムよりも怖かった。そうか、私にとってモーターヘッドは、美しいよりも先に怖かったのか。これは発見やな、信者暦×年にして。

なぜ永野護はロボットに「ゾワっ」とする要素を取り入れるのか。

それはロボットが恐怖の人殺しの機械だからではないだろうか。モーターヘッドというロボットは「3159年星団侵攻で人々を大虐殺し、人々を恐怖に陥れる」という前提でデザインされている。「ゾワっ」とするデザイン要素は見た人(読者あるいは星団人)に恐怖を与えるためのフックとして作用しうる。恐怖のロボットとしてのデザイン上の説得力が高まる。

「恐怖」というのはF.S.S.ないし主役国家A.K.D.のキーワードだ。たとえば天照帝がミラージュ左翼を「恐怖」で服従させているという設定、AFユーパンドラがやがて行う「恐怖政治」、ミラージュ騎士団による恐怖の星団侵攻と、恐怖づくしになっている。さらに言えば第6話以降の主人公であるという炎の女皇帝もまた、全人類の8割を粛清した「恐怖」の支配者とされている(註)。
 (註)NT2011年4月号

このようにF.S.S.の根幹の主人公たちは人々に「恐怖」を与える存在として設定されていて、決して主人公たちも主役ロボットたちも「正義のヒーロー」ではない。恐怖の人殺し機械としてF.S.S.のロボットはある。だから永野はロボットに昆虫のごとき「ゾワっ」とする要素を組み込んだのではないか。

その意味ではかつての私がモーターヘッドに「なんか怖い」と感じたのは当然のことだったのかもしれない。

ただ、アニメ・デザイナーである永野は、人殺し機械を恐怖の象徴としてだけではなく「美しく」あるいは「カッコよく」描かねばならないという倫理上のジレンマを抱えてもいる。言うまでもないが「人殺し機械がにも拘わらず美しいということ」は、映画『花の詩女ゴティックメード』に垣間見えたモチーフでもある。このジレンマについては何年か前に日記に書いた気がするので、いつかアップする。


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昆虫ゾワの魅力

ご無沙汰しております。読み込みに余念無く、中々コメント出来ませんが、毎回とも楽しく読ませて頂いております。
キュベ、自分も気味が悪いのに釘付けだったのですが、白鷺の飛行姿と知り、その美しさを認めるに至りました。

永野、昆虫好きですよね。
第4話アトロポスの章、AKD兵士の名前のオークワ・ドルクスがオオクワガタの学名をモチーフにしてる、と言う指摘をドコかで見ました。自分も気付いておりまして(鼻息)、それ言うならサイクロームマテウス・メタリフェルも金属光沢の海外のクワガタの学名だ!と独り息巻いておりました。

ご指摘のモルフォなどもそうですが、蝶類や甲虫類の金属光沢は『構造色』による物(光の干渉)なのですが、ヘリオス繊維やヘリオス積層による光沢発色の発想も、その辺からかな、と妄想しております。



因みに同じ4話のバロー様の母船、スズメガがモチーフだと思っているのですが、そのような解釈は未見です。(鼻息)

昆虫がゾワっと来る物、そのゾワが私たちの心を捕らえて離さない理由について、『世界一美しい昆虫図鑑』を著したクリストファー・マーレーと言う造型作家が、「動きの予測がつかないから怖い」「細い脚が気持ち悪い」などと表現していました。
子どもの頃、虫が怖かったからこそ魅せられたのだ、と著書の解説で述懐しています。

貴方のダッカス評に「違和感を覚えながら、釘付けになっていた」(意訳)と有りました。アレに激しく同意していた自分なのですが、今回の虫≒GTMのご考察を拝見して、ダッカスや縄文式などの造型に感じる、『ゾワッ…でも釘付け』な感情の動きは、昆虫から得られるソレと同じ物かも知れないと得心致しました。
いやぁ、目からウロコでした。

蛇足ながら、昆虫好きとロボ好きは、かなり確率で被るのではないかと思っております。
昆プラの羽根ギミックなどは、ロボの変形ギミックに通じるなぁと。
そう言えば、旧ドラゴンの羽根も甲虫の後翅と同じ折り畳み方でしたね。


各ご考察、感想、楽しみにしております。ロムに戻ります。
長文失礼致しました。

No title

コメントありがとうございます。

ヘリオス繊維の光沢表現は虫の光沢からの着想ではないかという指摘は面白いですね。玉虫色みたいな色のロボットやファティマ服もやがては登場するかもしれません。

「細い足が気持ち悪い」に笑ってしまいました。

>永野、昆虫好きですよね。

そうですね。残念ながら私は虫や動物にあまり強くないため、なぜ永野があれほどクワガタやクジラが好きなのか感覚として理解できないところがあります。デザインの資料としてではなく本当に好きそうですからね。
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